メチル化カテキンって?効果効能まとめ

メチル化カテキンとは?

メチル化カテキンは、緑茶に含まれているカテキンの1種です。
カテキンとは、ポリフェノールの一種で緑茶に含まれる苦み成分で強い抗酸化作用を有します。殺菌作用や血圧上昇抑制作用などの多くの作用が最近の研究により発見されました。
緑茶に含まれている主なカテキンは「エピカテキン」、「エピガロカテキン」、「エピカテキンガレート」、「エピガロカテキンガレート」の4種類になります。

エピカテキン

エピガロカテキン

エピカテキンガレート

エピガロカテキンガレート

このエピガロカテキンガレートの一部がメチル化したものをメチル化カテキンと言い、エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG”3Me)エピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(EGCG”4Me)などがあります。

エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG”3Me)

エピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(EGCG”4Me)

メチル化カテキンの効能効果

機能性表示食品で示されるメチル化カテキンの効能効果はハウスダストやほこりなどによる目や鼻の不快感を軽減すると言われています。
つまり、花粉症などのアレルギーの症状を抑える効果があります[1]。
なぜそのような効果があるのか、1日どれくらい摂取すれば良いのかを説明いたします!

花粉症などアレルギー症状とメチル化カテキンの作用

まず、なぜアレルギーが発現するのか説明します。
人の身体には、外部から入ってきたウイルスなどの異物から体を守るため、抗体を作ることで異物を排除しようとする『免疫』という仕組みがあります。この反応が過剰に起こると、体に無害なものでも異物と判断してしまい、排除しようとします。このことをアレルギー反応といい、アレルギーを引き起こす異物をアレルゲンと言います。

花粉症は花粉がアレルゲンとなり、アレルギー反応を引き起こします。花粉が体内に入ってくると、まず、体が抗体(IgE抗体)を作ります。このIgE抗体がマスト細胞にあるIgE受容体にくっつき、アレルゲンをキャッチすると、ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が分泌されます。そこで、できる限り体外からアレルゲンを放り出そうとし、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が現れます。

メチル化カテキン(EGCG”3Me)は、IgE受容体の発現やヒスタミンの放出を抑制したり、アレルゲンが受容体とくっついたとしてもその情報伝達系を阻害することで、花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる目鼻の不快感を軽減させると考えられています[2-4]。

メチル化カテキンが含まれている品種とその摂取量目安

メチル化カテキンは「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」というお茶の品種に多く含まれており、日本茶シェアNO.1品種である「やぶきた」には全く含まれません。
1日 34mg以上のメチル化カテキンを摂取することでアレルギー症状の改善が期待されます。べにふうき緑茶でこの量を摂取するには、1日に2回、べにふうき茶葉 2~3gを250mlの熱湯で5分間抽出して飲むことをオススメします[5,6]。
また、べにふうき緑茶1杯にショウガを耳かき1杯ほど入れることで渋みを抑え、アレルギー抑制効果も増強されることもわかっています[7]。
飲み方として、花粉症が出始める時期の1か月半前から飲み始めることでより効果が期待できます[8]。

注意すること

粉末茶を溶かしたものを高温で長時間持ち歩くことにより、光過敏皮膚炎を引き起こすフェオホルビドといった毒性物質が生成するため、保存することはできる限り避けましょう。粉末を水に溶いてすぐに飲用することについては問題ありません[6]。

「べにふうき」はもともと紅茶系の品種でしたが、紅茶に加工されると酵素作用によりメチル化カテキンが消失してしまうため、緑茶として飲むと良いでしょう[5]。

機能性表示食品は多量摂取により病気が治ったり、より健康が増進するものではありません。また、過剰摂取が健康に害を及ぼす場合もあります。したがって、商品に表示してある情報(一日当たりの摂取目安量、摂取方法など)や商品を販売している会社のサイトに載っている解説などをよく読みましょう。

参考文献

[1] 農研機構, システマティックレビュー「メチル化カテキン1,2」
[2] Yoshinori Fujimura et al., Antiallergic tea catechin, (-)-epigallocatechin-3-O-(3-O-methyl)-gallate, suppresses FcεRI expression in human basophilic KU812 cells, J Agric Food and Chem, 48, 5649-5635, 2000
[3] Mari Yamamoto (Maeda) et al., O-Methylated Catechins from Tea Leaves Inhibit Multiple Protein Kinases in Mast Cells, J. Immunology, 172, 4486-4492, 2004
[4] Yoshinori Fujimura et al., The 67 kDa laminin receptor as a primary determinant of anti-allergic effects of O-methylated EGCG, Biochem Bioph Res Co., 364 79-85, 2007
[5] 山本 (前田) 万里ら, 茶の品種,摘採期と製造法によるエピガロカテキン3-O-(3-O-メチル)ガレート含量の変動, 日本食品科学工学会誌, 48, 64-68, 2001
[6] 山本 (前田) 万里ら, ‘べにふうき’ 緑茶抽出条件の違いによるメチル化カテキン含量及びフェオホルビド生成量の変動, 茶業研究報告, 104, 43-5, 2007
[7] 山本 (前田) 万里ら, 季節性アレルギー性鼻炎有症者を対象とした「べにふうき」緑茶の抗アレルギー作用評価とショウガによる増強効果, 日本食品科学工学会誌, 52, 584-593, 2005
[8] Mari Yamamoto (Maeda) et al., The Efficacy of Early Treatment of Seasonal Allergic Rhinitis with Benifuuki Green Tea Containing O-methylated Catechin before Pollen Exposure: An Open Randomized Study, Allergology international, 58, 437-444, 2009

その他参考サイト
農研機構, 「べにふうき」緑茶とは?
農研機構 果樹茶業研究部門, べにふうき緑茶の研究情報

メチル化カテキンの分析について

食の安全分析センターではメチル化カテキン(EGCG”3Me)の分析を行っています。

価格:22,000円(税込み)/ 1件体
納期:1~2週間
程度

また、機能性表示届出の際に必要となる分析方法の資料も無料サービスで添付いたします。

分析にご興味のある方は是非ご相談ください。
メール:info@cfsa.or.jp
電話:0985-45-0328

記事の監修

酒井美穂

酒井美穂 技術課長

大阪大学大学院工学博士。

宮崎県食品開発センターでの食品の機能性成分分析や、宮崎県総合農業試験場で食品中の残留農薬分析に長年にわたり従事し、食品の高付加価値化や、食の安全安心に貢献してきた。

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