GAP認証における残留農薬検査について

GAPとは

農業におけるGAPとは、「Good Agricultural Practice」の頭文字をとった言葉で、日本語に直訳すると、「良い農業のやり方」、農水省の日本語訳では、「農業生産工程管理」と呼ばれています。GAPとは、農業の持続性に向けた取り組みで、食品安全から環境保全、労働安全、人権・福祉、農場運営上の事故を予防する手段などとして使用されますが、今回の記事では、特に、GAPにおける残留農薬検査について説明したいと思います。

GAP認証について

近年、持続可能な社会への関心の高まりとともに、海外・国内の実需者や、農産物の輸入・取引において、GAP認証を求める傾向があります。現在、国内における農畜産業のGAP認証取得経営体数は、JGAP、ASIAGAP、GLOBALGAPの合計7,815 経営体(令和5年3月)で、平成29年3月と比較すると171%となっています。

GAP認証取得状況(経営体数)

※青果物、穀物、茶、畜産にかかわる認証経営体数(国内のみ)
※複数の認証を取得している経営体については重複計上。
※GLOBALGAPの経営体数について、H30.3はH29.12時点、R3.3はR2.12時点、R4.3はR3.12時点、R5.3はR4.12時点。

(農林水産省農業環境対策課調べ)

GAPの種類

世界には様々なGAP認証がありますが、日本では下表のようなGAP認証が普及しています。
都道府県のGAPとして、当センターが所在する宮崎県には「ひなたGAP」があります。そこで、今回は宮崎県で多くの生産者が取り組んでいる、ひなたGAPとJGAPにおける、残留農薬検査について説明します。

日本で使用されている様々なGAP

種類
運営主体
説明
GLOBALGAP Food PLUS
(ドイツに本部を置く非営利組織)
欧州の流通小売りの大手企業が主導で策定した取引条件としてのGAP
第三者による認証を実施
ASIAGAP 一般財団法人日本GAP協会 JGAPにGFSIの要求を追加したGAP
JGAP 一般財団法人日本GAP協会 農業者、食品業者、大手小売業者が参加して開発されたGAPで、指導者を育成する仕組みを持つ
第三者による認証を実施
各都道府県のGAP 各都道府県 各都道府県が独自に定めたGAP
一部の都道府県でのみ第三者認証を実施
JAグループのGAP JA、経済連 各JAが独自に定めて取り組むGAP

(日本GAP協会資料)

JGAP・ひなたGAPにおける残留農薬検査について

JGAP認証やひなたGAP認証の適合基準は以下のようになっています。

JGAP C5.6 残留農薬に関する検証

レベル
管理点
2022適合基準                                           
必須 残留農薬検査

農薬使用の適切性を確認するために、以下に取り組んでいる。

(1)以下の項目を満たす残留農薬検査の計画を文書化している。
 (a)残留農薬検査の計画は農場内で使用した農薬及びドリフトの可能性がある農薬のうち、残留の可能性が高いと思われる品目・農薬成分、収穫時期、場所からのサンプル選定
 (b)上記(a)で特に残留の可能性が高い農薬成分を特定できない場合、多成分一斉分析の実施
(2)残留農薬検査の計画に基づき、以下に取り組んでいる。
 (a)年1回以上の残留農薬検査の実施と結果の保管
 (b)検査の結果、残留農薬基準を超過した場合、管理点 6.3、6.4に従った対応の実施

ひなたGAP 共通4.7 残留農薬とトレーサビリティ

レベル
管理ポイント
適合基準                                   
必須 4.7.1 残留農薬検査
による安全性の確認
を行っていること

残留農薬検査により、出荷する農産物の安全性の確認を行っている。

留意事項
○農薬の残留農薬検査は年1回は実施します。
 複数の圃場を有する場合は、ランダムに抽出する方法でも問題ありませんが、農薬残留の危険性が高い圃場(例えば隣接圃場からのドリフトが懸念される圃場や過去に残留事故が発生した圃場、残留事故が発生しやすい品目)からサンプルを抽出するのも有効な方法です。
 また、複数の農業者からなる団体等の場合は、全ての農業者からサンプルを集める必要はありません。
○残留農薬検査を実施した場合は、記録を保管するようにします。

上記表のようにJGAP及びひなたGAPでは、農場内で使用した農薬及びドリフトの可能性のある農薬のうち、残留の可能性の高いと思われる農薬成分に関し、リスクの高い収穫時期・圃場について年1回以上は残留農薬検査をすることが求められています。
従って、それに対応するためにはより多くの農薬成分を分析対象とする、多成分一斉分析検査が望ましいと思われます。

参考文献

農林水産省 農業生産工程管理(GAP)に関する情報
一般財団法人日本GAP協会
宮崎県 宮崎県版GAP「ひなたGAP」

残留農薬検査について

当センターでは、より多くの農薬成分を分析対象とする、500成分一斉分析検査、400成分一斉分析検査、300成分一斉分析検査のメニューがあり、最短翌日に報告いたします。また、農薬成分によっては、ジチオカルバメート分析や個別成分分析のメニューもございますので、どのメニューで分析すれば良いかお困りの方はお気軽にお問合せください。
GAPに関係した不安や、分からない点については、JGAP指導員もいますので、こちらもお気軽にご相談ください。

メール:info@cfsa.or.jp
電話:0985-45-0328

残留農薬検査メニュー一覧はコチラ

JGAP指導員の記事についてはコチラ

記事の監修

酒井美穂

酒井美穂 技術課長

大阪大学大学院工学博士。

宮崎県食品開発センターでの食品の機能性成分分析や、宮崎県総合農業試験場で食品中の残留農薬分析に長年にわたり従事し、食品の高付加価値化や、食の安全安心に貢献してきた。